夏の帰省時期といえば、お盆休みですね。その「お盆」って、そもそもなんなの
だろう?ということで、今回は夏休みにちなんで、「お盆」のあれこれについて
勉強してみましょう。
四季がある日本に、「両分性」という時間の捉え方があったそうです。春、夏、秋
冬のサイクルを1セットとして循環しながら年を重ねていくイメージだと思います。
春の対極が秋で、夏の対極が冬。田植えの春祭りに対して、収穫の秋祭り
のように、対になっている季節は似たような行事が行われていたそうです。
正月は戻ってきた年神様や家長の「生御霊(いきみたま)」を祀る行事のよう
で、その半年後の夏はもう一度戻ってくる祖先の霊を祀る行事が「お盆」
のようです。
おめでたいことをたとえるとき、「盆と正月が一緒にやってきた」という言
葉があるかと思いますが、お正月とお盆は、日本人にとって1年の
メインイベントとして考えられていたのだそうです。
「お盆」の由来とはじまり
「お盆」 の由来は、古くは西暦606年に記録が残る「盂蘭盆会(うらぼんえ)
という仏教行事が関係しているそうです。
「盂蘭盆会」とは、お釈迦様の弟子のひとり、「目連尊者(もくれんそんじゃ)
が、亡き母が地獄に落ちていることを知り、その御霊を供養したことに由来
した精霊を祀る行事だそうです。
一方、日本は古来より、八百万の神を崇拝する神道の思想がベースにある
そうで、祖先の霊を祀る「祖霊信仰」の歴史があったようです。
そして、「祖霊信仰」と「盂蘭盆会」が結びつき、「お盆」となったようです。
仏教が起源ではない?「お盆」は日本ならではの行事
「盂蘭盆会」が由来に関係して、今や仏教行事に取り入れられた形で
行われているのが「お盆」のようですが、実は、仏教が起源の行事では
ないのだそうです。
お供物を例にすると、仏教では殺生を忌み嫌うために、動物や魚の肉
は取り入れないそうですが、神道では動物の血肉を嫌うことはないそう
で、神饌(しんせん=神様へのお供物)にも獣肉や魚を用いるそうです。
では、「お盆」はというと、夏野菜のほかに生魚をお供えするそうです。
このことから、仏教の行事ではなかったことが分かるかと思いま
すが、「お盆」は、江戸時代以前にあった、「神仏習合(しんぶつ
しゅうごう)」の思想のもとで始まった日本独自の行事だったのだ
そうです。
東京と地方で「お盆」の時期が違うのはなぜ?
日本では江戸時代までは、月の満ち欠けをもとに割り出した旧暦
(太陰暦)を用いていて、日本人の時間間隔は農業と結びついて
1年のリズムをつくっていたのだと思います。
「お盆」は、旧暦7月15日に行われていたそうですが、これは、現
代の新暦でいう8月15日前後にあたるそうです。この頃になると
農作業もひと段落し、家族そろってゆっくり過ごせるので、農家の
人にとって「お盆」に適した時期であったそうです。
やがて、明治時代に入ると、毎年変わる不定期な旧暦では外交
などにおいて支障が出ることもしばしばで、日本でも世界標準の
ユリウス暦(のちにグレコリオ歴)を新暦として採用することにな
ったそうですが、年中行事を旧暦の日にちのまま新暦に落とし
込んでしまったために、「お盆」は一ヶ月早くなってしまった
そうで、農業は佳境を迎え大忙しの時期ですが、暑さが少し
引いてくる初秋の時期が「お盆」というイメージだったことも
あり、地方では新暦8月15日に行うことにしたそうです。
一方、商業都市の江戸では生活する上で特に支障がなか
ったために、新暦7月15日のまま行われていたそうです。
古来のやり方で、「迎え盆」とは、お墓を掃除し、盆花を摘み
取るところから始まるそうです。次に、仏壇の前に「盆棚」を
つくり、ごちそうを供え、盆花や「精霊馬(しょうりょううま)、
ほおずき、燈籠を飾り、「迎え火」を炊いて祖先の霊を迎え
入れるそうです。
ちなみに、故人が初めてこの世に戻ってくることを「初盆」
といい、迷わないで戻って来られるよう、家の外に高い柱
を設けて提灯をつける「高提灯」で迎え入れるのだそうです。
また、「お盆」は祖先の霊と一緒に身寄りのない霊や怨霊な
どもこの世に戻ってくると考えられているそうで、これらの霊
を慰めるため、「盆棚」とは別に、家の外に「施餓鬼棚(せがき
だな)」を設置して、米や野菜などをお供えするそうです。
この時期は、寺院では施餓鬼法要を行っているそうです。
そして一週間ほど滞在した後は、祖先の霊は精霊馬に乗
ってあの世に帰っていくそうです。お盆の最終日の「送り盆」
は、「送り火」を焚いて送り出すのだそうです。
「きゅうり」や「なす」を飾る理由
割り箸などを使い、きゅうりは「馬」、なすは、「牛」に見立てて
作るお供物を「精霊馬(しょうりょうううま)」というそうです。先祖
の霊は、この「精霊馬」に乗ってこの世に戻り、あの世に帰って
いくと考えられているそうで、早く走れる「馬」が迎えに行って、
ゆったり歩く「牛」が送っていくそうです。
関東から東北地域では、まこも(ゴザの原料)でつくることもある
のだそうです。
今では都市部を中心に飾り付けは簡素化されて、ホームセンター
ホームセンターやスーパーなどで販売されている飾りつけセットを
使う家庭も多いそうですが、江戸時代において、都市部の人々
は、地方からやってくる農家による「盆市」や「ほおずき市」などで
飾りつけ用具を購入していたのだと思います。
また次回おたのしみに! 峰不二子