長く外出自粛していた方は、暑さへの耐性を獲得しておらず、筋肉や心肺機能をは
じめとする体力の低下によって予防因子が小さくなっているおそれがあり、バランスが崩れ
やすい状態になっていると思いますが、これらの点を「STAY HOME」しながらいかに補うかが課
題と言えると思います。
運動をすれば筋肉と心肺機能が高められて、血液量が増えて汗もかきやすくなるため、運動は
熱中症対策にうってつけだと思います。しかし、「STAY HOME」を求められる今、自由に外出すること
さえ憚られるという方もいるかと思いますので、まずは家の中でできることを見てみましょう。
家の中でする運動としてまず思いつくのは筋肉トレーニングいわゆる家トレだと思います。
シンプルに「腕立て伏せ」「プランク」「スクワット」の3点セットのようです。ジムな
どで日々本格的に鍛えてきた方の中には「もったいつけてそれだけ?」と思う方もいら
っしゃるようですが、この3点セットを組み合わせることで上半身と下半身、お腹と背中、イ
ンナーマッスルとアウターマッスルのそれぞれをバランスよく鍛えることができると思います。
実は筋肉(骨格筋)は身体の中でも特に水分を多く含む臓器で、水分の貯蔵庫としての
役割があるようです。
筋肉を発達させることは貯めておける水分を増やすだけではなく、末梢血管を発達さ
せることで非蒸散性熱放散(汗などに頼らない熱の放散)と蒸散性熱放散(汗による
熱の放散)を高め、熱中症に強い身体となることのようです。
特別な器具を必要とせず、やり方がシンプルで誰もが正しい方法で無理なくできいる点も
魅力だと思います。一方で自重を利用したこれらのトレーニングでも、スピードや回数を
上げることができるなどのやり方の工夫はもちろん、鍛える筋肉を意識した正しい
フォームで行うことで十分効果を上げることができると思います。ただし無理は禁物
のようです。膝や肘を痛めないよう自分に合った負荷で日々行えば、目に見えて筋肉は
発達し、連続回数や連続時間が増えて行きます。自分自身にチャレンジするとよいようで
す。
有酸素運動で暑さへの耐性を高める
有酸素運動は、軽度から中程度の負荷をかけた運動を、比較的長時間連続して行う
ようです。筋肉を一回当たり収縮させる力は筋肉トレーニングには及ばないようですが、
しっかりと酸素を取り込み糖質や脂質を減らして筋肉をつけたい、かっこいい身体になり
たいという方にぜひ取り入れていただきたい運動だと思います。
負荷を時間で調節できるためトレーニングによる怪我のリスクが少ないのも魅力のよう
です。ジョギング、サイクリング、水泳など様々あるようですが、自分の興味があるもの、
周囲の環境でやりやすいものからチャレンジしてみるとよいようです。
もちろん熱中症対策としても有効なので、「やや暑い」と感じる環境で「ややきつい」と
感じる運動を行うとよいと思います。環境からの熱と体内で作られる熱によって、疑似
的な暑熱環境をつくることができて、暑さへの耐性を高めることができるそうです。
運動の強度を調節できるため無理をせずに取り組めると思います。
5~6月では日中に、7月を過ぎれば朝や夜の涼しい時間を利用し、一日30分程度
二日に一回程度の頻度で行えば効果的のようです。体力に自信のない方は3分間の
軽い運動と3分間のややきつい運動を繰り返すインターバルトレーニングから試すと
よいでしょう。
運動時のマスク使用について
気温が高くなってくると「マスクをしていると蒸れて暑い」という意見が多く聞かれると
思います。暑い中で常にマスクをしたまま過ごしていると、呼気からの熱の放散が
妨げられ、マスク内の湿度が高いため、喉の渇きを感じづらくなる可能性がある
ようです。運動中のマスクの使用は熱中症のリスクが高まるようです。
マスクを外してはいけないといった思いから、気づかないうちに水分補給の機会を
逃してしまうため、脱水になりやすいといえると思います。
しっかり朝ごはん
筋肉量を増やすためにも、血液量を増やすためにも、食事はとても大切な要素
だと思います。筋肉も血液も、その主成分はタンパク質のようで、食事から十分な
タンパク質を摂っておかなければせっかくのトレーニングも半減するようです。
エネルギーも重要だと思います。暑熱環境で身体の機能を維持する、筋肉や
血液を作る、身体を動かすなどあらゆる身体活動にはエネルギーが必要
のようです。ダイエットを兼ねたいと十分なエネルギーを摂らずにいると、脂肪
よりも燃えやすいタンパク質を利用するために筋肉が分解され、暑さに弱くなって
しまうおそれさえあると思います。
食事ではタンパク質、糖質、水分のバランスに注意するとよいようです。
難しく考える必要はないようです。まずは、朝ごはんをしっかり食べるとよいと
思います。実は、朝起きたばかりというのはとても熱中症リスクが高いようです。
意外かもしれませんが、私たちは寝ている間に汗や息から約500mlの水分を
失っていて、生きるために300kal以上のエネルギーも使っているようです。
直近の食事から10時間近くも飲まず食わずで迎える朝は、脱水とエネルギー
不足の状態だと思います。朝ごはんの重要性、もうお察しいただけたこと
だと思います。
また次回おたのしみに 峰不二子