日本生まれの中華料理 『冷やし中華』 の謎
●冷たい料理を好む日本、嫌う中国
暑い日に食べたい料理の一つに「冷やし中華」がありますね。この冷やし中華は日本生まれの料理って知ってましたか?
そもそも中国の人たちは、元々冷たい料理を好まなかったという歴史があるようです。
いまでも中国の人は「冷めたごはんは罪人が食べるもの」や「日本人のお弁当はおいしそうだけど、どうして冷たいの
を食べる気になるかわからない」 という人もいます。
中国にもコンビニがあり、日本のおにぎりは大人気のようですが、最近までコンビニのおにぎりは温めるの当
たり前だったとか(もっとも日本では、沖縄や北海道では普通に温めるそうです)
そんな中国ですから、冷たい麺など発想外だったようです。じつは中国にも冷麺や涼麺というアツアツではない麺料理は
あるようですが、あまり水がよくないこともあり、直接水や氷で冷やす習慣がないために、日本の冷やし中華のよ
うに冷たくなく‘‘ぬるい”料理です。
一方、日本はというと、冷たいお刺身はもちろんのこと、冷たいお弁当も学校や遠足では当たり前で、冷たい漬物や、冷たいお浸
しも大好きなお国柄です。
日本と中国は近くの国ですが、料理の好みは違うのです。
日本料理で、冷たいものの決定版といえば、日本の良質の水をたっぷりつかって冷やした、日本の伝統食である蕎麦やそうめん、
冷や麦、冷たいうどんなどがあります。
こういった冷たい麺類を好んでいた日本人が、やがて冷やし中華を発明するのは一種の宿命だったのかも知れません。
●冷やし中華の歴史
冷やし中華の誕生にはいろいろな説がありその中でもっとも有力なのが、宮城県仙台市青葉区錦町で今も営業している「龍亭」の
店主だった四倉義雄さんが考案したのが最初という説で、
暑い日本の夏熱いラーメンの売り上げが落ちるために、地元の仙台支那料理協同組合の人たちが、夏でも人気の落ちない料理をと、
ざる蕎麦をモデルに研究を重ねて、鶏ガラスープに醤油、酢を使ったタレ、チャーシュー、塩もみしたキュウリ、茹でたキャベツなどを具にした
冷たい中華麺が、冷やし中華の最初という説で昭和12年のことでした。
ほかにも、昭和初期に書かれた料理本に、中華麺を冷やし、お酢を効かせた醤油だれをかけて食べる料理法が紹介されたものなど
があり、この時代、いろいろな人が、中華麺を冷やして食べる料理を作っていたそうです。
そして冷やし中華が全国的に広まるのは戦後になってからで、昭和21年、東京の神田神保町にある「揚子江菜館」に
「五色涼ばん麺」というメニューが現在の冷やし中華の原型であると言われているようです。
この「五色涼ばん麺」も、2代目店主の周子儀さんが大のざる蕎麦好きということで、雑蕎麦をヒントに考案したとのことでした。
やはり冷やし中華はざる蕎麦の影響大のようです。
●冷やし中華にマヨネーズはアリかナシか?
皆さんは冷やし中華にマヨネーズをかけるタイプですか?冷やし中華+マヨネーズという発想はどうやら名古屋発のようです。
昭和32年、名古屋の食品メーカーであり、全国にチェーン展開している「寿がきや」が、ラーメンスープにマヨネーズ溶かした上
で冷やし、「冷やしラーメン」として売り出し、1960年代ごろには、現在の汁がない「冷やし中華」にマヨネーズを添えることを
はじめたそうです。
そのせいか東海地方では、冷やし中華+マヨネーズは当たり前で関東地方では、マヨネーズは「かけない派」が優勢。北海道
ではかけない人が多く、全国的には、「かける・ときどきかける派」が優勢のようです。
さて、皆さまはいかがでしょうか。 峰不二子